翠天雑記帳 雑文


スティックボード再び/2000年3月1日(水)/No.15

ちょっと前にも書いたのですが、またまたこの話。 好きなんですよ。もう街の景色の一部にとけ込んだ感のあるスティックボードの 話です。今ひとつ呼び方がはっきりしないのですが、一応「ローラーブレード」 の時みたいに「キックボード」ってのは特定の商品の様です。そのうちインライ ンスケートって呼び方になったように、スクートボード、スティックボードとい う名称が普及してくるでしょう。そういやホッチキスもステープラって呼び方に なりましたし。とりあえずここではスティックボードとしておきます。 全文検索ロボットで探しても、yahooにも1月にはサッパリ無かったリンク集も、 色々出来ていて 、ここ1〜2ヶ月でががーっと増えた事が分かります。 yochi's kick"scoot"board とか KAZKIN’S PAGE なんかがわかりやすいかな?

おさらいをすると、K2-KICKBOARDは前輪が2輪の三輪車でハンドルは片手で持 つゲーセンの操作レバーの様な感じ。自立する。お値段38000円くらい。どちら かというとスピードは遅め。で乗り心地は安定している。それに対してスティッ クボードのRazor(Microって商標のもある)は2輪で15000円くらい。自立しない (あたりまえ)。自転車風のハンドルで、両手で持つ。わりとコンパクトに畳める。

なんで私が注目するかというと、自転車の代わりになるかもしれないと思っ ているからです。 都知事も自動車の乗り入れ規制を打ち出してるくらい、東京の交通問題はかなり のものになっています。ディーゼル車の規制も実効はともかく、ジェスチュアの 目玉にはなるでしょうから、それと合わせて複合的な交通規制対策と環境対策を やっていくべきです。

そこで私が注目しているのは自転車と電車の組み合わせで移動をするという 手段。東京は世界でも稀に見る公共鉄道網の発達した都市です。これを上手く使 わずしてどうしましょうといった感じ。今度私鉄地下鉄全ての共通プリペイドチ ケットも発売されますしね。JRも是非交ぜるべきだと思うのですが、競合他社だ し難しいのかなぁ。アキバ駅前で休日に切符を買うのは非常に混雑していて面倒 なのです。もちろんイオカード使ってますけどね。プリペイドなのに割り引き無 いのは非常に良くないと思いますが。ああ、話がそれた。

自宅から最寄り駅までは自転車で行ければいいと思います。Cycle&Rideスタ イル。私いつも15分歩いて最寄り駅に行ってます。ただ自転車は電車に入れて持 ち運ぶには少々大きいし、都会じゃ停めておくと盗まれるというリスクがありま す。ただでさえ駅前駐輪場は満杯で停めさせてもらえないですし。折り畳みの自 転車も考えてみたのですが、折り畳みに時間がかかるし、やはり大きくて朝の通 勤電車なんかに持ち運んだら顰蹙モノです。性能はもう普通のスポーツ車と変わ らないくらいの性能のものが開発されているのが惜しいのですが。

そこで折り畳んで持ち運びできるスティックボードタイプのギアに注目して いるのです。格好いいからとかそういうことは無いです。むしろ早く目新しく無 くなって、一般的な乗り物となって欲しいです。壮年の紳士が乗ってい るくらいが理想。インラインスケートと違って、乗れるようになるま での労力が少ない点が魅力です。さっと折り畳んで電車に乗れますし。その分遠 くまで乗るのは苦しいですけど、歩きの行動半径を広げて、もしくは目的地や最 寄り駅までの時間を短縮してくれるのではないでしょうか。小さな車輪がアスファ ルトにマッチしいて、ブレーキがあるので坂道も安心して下れます。

さてこういったCycle&Rideスタイルを補助する道具としてスティックボー ドを考えると、KICKBOARDはちょっと大きい感があります。スケボーにハンドル 付けた様な感じですし、前輪操作部分はかなり重量のある部品となっています。 Razorは友達が買ったので見せてもらったのですが、思った以上にでかいし、重 いのですよ。まだまだコンパクトにできるし、軽くできるはず。

工学的に見てみると、足で地面を蹴って進む車輪という発想は昔からありま したが、空気の入ったタイヤで、直径も中途半端に小さいものでした。その結果 太いタイヤとなり、転がり抵抗がかなり大きくて、一蹴りで進む距離が以外と小 さいものでした。ボイルの法則で分かるとおり、小さい体積のチューブで、あ る点にかかる圧力を支えようとすると必然的に内部の空気圧は高くなり、「硬い」 タイヤとなっていきます。逆に乗り心地を追求するとチューブ内の空気のクッショ ンを利用できる太い(内部の圧力の低い)タイヤとせざるを得ませんが、転がり抵 抗が大きくなり、労力の割に進まないという事態になります。

Razorは直径10cm程度のゴムタイヤとなっています。このサイズになると、支 える空気圧が高くなりすぎて、最早チューブ式である意味は失われるからです。 普通ならば飛行機のランディングギアの様に、別のサスペンションが必要な構造 になるのですが、それを敢えて切って捨てています。その結果乗り心地は悪くな るのですが、都会の平滑な面のアスファルトを走行するという前提がそこを許す ことになるのでしょう。転がり抵抗の少なさが労力の少なさを支えています。

空気のダンパーをバッサリと切って捨てる事により、革命的にタイヤのサイ ズを小さくすることに成功しています。ここで自転車とは違う発想であることが 分かるのですが、何故か前輪は自転車式に舵角を360度切れるハンドルが付いて います。タイヤにはもう一つ重要な役割があって、それはホイールの回転による 慣性モーメントが生み出す直進安定性です。手放しで乗る程度の直進安定性を得 ようと思うなら、十分大きなサイズのホイールが必要で、このサイズのタイヤ が生み出すモーメントでは手放し走行は不可能です。つまり舵角が自由に切れる と逆に不安定になってしまうわけで、ここは設計が間違ってると感じます。少な くとも自転車の代替として考えるという方向性からするならば。(もちろん遊び のギアとしての方向ならば悪くないのですが)先ほど紹介したwebに書いてあった、 前輪にゴムを取 り付けて、車輪を真っ直ぐに保つという発想は正しい方向だと言えます。 舵角に応じて戻る力を加えるバネの様なものが元から付いていても変ではありま せん。KICKBOARDはタイヤを傾けて方向を変えるという発想で、こういった小さ いタイヤを持つ乗り物に対して進行方向を決めるハンドルの構造として、正しい 選択をしてると思います。元々3輪であることも手伝って、直進安定性は素晴ら しくなっています。自立しますし。

こう見てくると、どちらも妙に重いのが気になります。持ち運びにも不便で すし。走行時の安定性に全体の質量は殆ど寄与していないので、出来る限り軽く 作るべきでしょう。ちょっと頑丈すぎるかもしれません。エクストリーム系に使 うことを想定しているのかもしれませんが、スティックボードで、あまりハード な使用を考えられないので、もっと軽量コンパクトなボディが欲しいところです。

折り畳んだ時のサイズももっと小さいものが欲しいところです。電車に持ち 込んで持ち運ぶ事を考えてますし、今もむき出しで運んでいる方を結構見かけま す。とがった角もあって結構危ないです。折角タイヤが小さいのですから、うま く折り畳む方法が欲しいところです。他のメーカーも似たようなものを出してく れてもいいと思うのですが、何故か出ません。あまり商売にならないのでしょう か?ファンスキーなんてどんどんと色々なメーカーから出たのに

結局まだまだだよな〜という結論で、どちらのメーカーのも試乗するだけで、 買っていないのですが、エッジが現在のモバイル通信用ギアの最良解である様に もう買ってしまうのがいいのかな。スティックボードなら安いし。うーんなんだ だらだら書いていたらほんと「雑」文ですね。ま、いっか。唐突に終わり。