横浜で昨日Robodex2000を Tosy氏と見てきました。産業用ロボットと違って ホンダのP3とかASIMOとかSONYのAIBOやSDRなんかの エンタテイメント用ロボットの展示会です。 しっかしすごいですね。あれはぜったい中に人が入ってます。そうとしか思えません。 人だかりがすごくてなかなか見られないのですが、会場から帰りがけに見たら3時間待ち。 さっさと入場して正解でした。「レイバー」みたいな大きさのロボットも 展示されていてなんだかワンダバでした。…最近表現が古いと自分でも思います。
腕のマニュピレーションは、 産業用ロボットで結構昔から研究されている古典制御分野なのですが、 一見したところマスタースレイブ機構のアームが多い感じでした。 これだとマスタのアームをトレースするだけだから、 制御としては楽なんですよ。それなりに演算は必要ですけど、 何もロボット内部で自立的には制御してないし。 逆に「落ちているボールを拾う」なんて事の方が実は難しいのです。 やはりこれを見ていると問題解決のアプローチが、産業用とは違ってるのが よくわかります。
それよりも歩行のなめらかさが素晴らしかったです。 PCの演算性能の飛躍的発展があそこまでのものを可能にしたんですねぇ。 制御方法、演算性能、アクチュエータ性能と要素技術はほぼ出そろっているので、 後は社会的なニーズだけだったのですが、ホンダの2足歩行ロボットの インパクトはかなり強かったと思います。 研究者の間ではテーマとしての2足歩行は既に終わった感があって、 実際の社会でどう役に立つの?とか制御の研究としては 新規な面は多くないんじゃない?なんて感じがありましたから。 それが具体的に歩いているところをどーんと見せられると、 嫌でも社会とのつながりを考えさせられるし、 企業のテーマとしては「いける」感がひしひしとあります。 あれだけの盛況を考えるとなんかロボットが世界に浸透していくのも あながち変じゃないかも?などと思ってしまったり。 いやーほんといいもん拝ませてもらいました。 ほんと良い時代に生まれてきたわ。私ら。SFがどんどん現実になっていく。 歩いて走ってジャンプするロボットももうすぐかな?
さて、ここで私は 今後社会に初めて進出する2足歩行ロボットは 「可愛い女の子タイプ」になる ことを予言します。言うに事欠いて何を。 段々現実と妄想の区別がつかなくなってきましたか?
まあ理由を聞いて下さい。 繊細さと力強さってのは実はかなり相反する能力で、 空手家の瓦を割る指が卵を割ってピアノを演奏するなんてことは 人間では可能でも、ロボットには実はまだかなり難しいのです。 アクチュエータ技術が整ってないと言えるかもしれません。 だいたい図体がでかくなるにつれて重量ってのが3乗オーダーで効いてきます。 高さが2倍になると体積は2×2×2で8倍ってこと。だから重さも8倍。 それに対して現在の電気モーターで動く アクチュエータの出力は8倍にはなり得ません。 そんなわけで人間サイズのロボットが歩く(一定の出力を持続する) こととジャンプする(高出力のトルクとスピードを瞬時に発生させる)の間には 結構な溝があるのです。 そういう技術背景を鑑みると今後初めて社会に出るであろう2足歩行ロボットが それなりの速度で歩行し、なおかつ人間の生活領域に浸透できるサイズは できるだけ小型軽量でなおかつ人間のサポートが可能な最大の大きさである 「子供サイズ」になると考えるのはしごく真っ当です。
さてそのサイズのロボットにどんな表情を付けるか?と考えたら、 サイズが「宇宙人グレイ」なのに色も表情も「グレイ」だとしたらちょー恐いでしょ? 夜にふと目を開けたら横にグレイが座って充電していると考えたら、 子供なら泣き出してしまうこと必至です。目が合うとびかっと光ったりして。 人間に威圧感を与えない色や表情を考えたら、 当然可愛い服を着せて表情も可愛くないといけません。 アクチュエータの動作を妨げる厚手のパンツやジャケットは厳禁です。 当然ミニスカートで上はノースリーブになるでしょう。もしくはレオタード。 出来るだけ作動上の負荷とならない様に、 薄くて軽い素材であることは言うまでもありません。 こうなると髪の毛も無いといけません。 長いとアクチュエータに絡まるおそれがあるのでショートカットになります。
もう「可愛い女の子」タイプのロボットが、 家庭用ロボット台頭の初期に登場するのは論理的帰結です。 一部マニア向けとしての発売ではありません。 一般的家庭用の商品として「可愛い女の子」の登場となるでしょう。 このお気楽なロジックにいささかの間違いもないことを 確信しながら21世紀を迎えたいと思います。…ダメダメ。