翠文書


近場の名所/1999年9月10日(金)/No.1

ウスという所がある。ここ は室内スキー場として、バブル全盛の頃に流行った建物である。あ、いや今でも 営業しているし、多分流行ってもいるんではないのか?まあとにかくでかい。初 めて実物を見たときはこんなにでかいのかと、感動を覚えたものである。 頂上までは高さにして100mはあるのではないだろうか。幅も結構なものである。 かのアルキメデスもこう言っている。私に不動の支点とザウスを与えてくれれば 地球を動かしてみせると。だが近場でいつも電車の中から眺めるのであるが、 行ったことはない。

ういえば、東京ディズニーランド もごく近場なのであるが、行ったことはない。いやこれは 正確な言い方ではないな。私がごく田舎の中学生だった頃、修学旅行で東京見学 に来たときに行った事がある。というか修学旅行で行くなよ。単に教師達が日頃 のガキ共のおもりから開放されて遊んで過ごそうという趣旨だったのではないか と、今になって思うのだが、どういうことなんだほんとのところは。現役教師に そのへんの裏事情を聞いてみたいものである。

がそれた。東京タワーも登っ たことが無いし。そういえば昔大阪に住んでいたときは通天閣に 登ったことはなかった。これはごく最近大阪に遊びに行く機会があって、その時 に登ってきたのであるが、あれは微妙に揺れているのである。その揺れに気が付 くとだんだん気持ち悪くなってきて、おもわずビリケンさんの前で…いやそんな ことはどうでもいい。

まり地元民になると、 近場にある名所には行かないというのは事実であろうと、 こう言いたかったのである。流石に毎日東京タワーに登らないと気分が悪いとか、 通天閣は俺の通勤コースだとかそういうこ とではないのであるが、これはこれで東京タワーの売店の売り子なんて職業の方 もあるわけで、そういう方を馬鹿にするわけではないので、そのあたり誤解なき よう。1回2回あるならともかく、一度も無いとはどういう事なのか。田舎の友人 が遊びに来ることも数度ではない。その旅に名所回りを強要されて、また日本橋 に行ってはそのまま大阪で一番ディープであると評される恵比寿町に回りスマー トボールに興じこれが通天閣だと見せて回っているはずなのだが、登ったことは 無いのである。

来お祭り好きで、いつも高いところに登ってい た子供の頃を思い出すにつけ、何故登らないのか。高いところに登りたがるなんて、 なんとかと煙はという諺を出すまでもなく親は将来を心配したであろうな。大丈夫。 墜落死することなく立派に育ちましたとも。いや、何故登らないのかという話。 多分登りたいはずである。いや、登らなくては。

らない理由は何かと考えてみると、名所回り をするに際して費用対効果が薄いとそういうことではないだろうか。高々エレベー ターで登って降りてくるだけで、1000円弱の金を取られるのである。これはも う詐欺ではないか?まして地元民になってしまえば、見慣れた町の風景を見るだ けのためにこれだけのお金は払えまい。もう登るとかそういう発想とは無縁のも のになってしまうのである。銭湯の壁に書いた絵と同じである。借景にもならな い。サンテグジュペリなら地面から見る景色と上から見る景色は違うのだと言う ところであるが、何しろ札である。一食抜いて景色を見るなら、たこ焼買って食 い倒れたほうがいい。1000円で食い倒れるほうもどうかしてるとおもうが。いや いや、これではいかん。高々景色を見る。高いところに登る。こういう事にお金 をかけられずにどうする。そんなことでいいのか。否。ありふれた日常に別れを 告げていま旅立たねばいけないのである。そんなわけでだれか一緒にザウス行っ てもらえませんか?

落ちてない落ちてない。